岩本寺

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高知県:NO37

(三十七番札所)藤井山岩本寺 真言宗智山派 本尊:不動明王など五仏
高知県高岡郡四万十町茂串3−13 駐車場5台

遍路する中で、この岩本寺までの六十キロは特に大変な道のりである。横波三里を越え、鉄道「土佐安和駅」のところからはじまる「久礼坂」は十三キロ、「焼坂」「中坂」「七子峠」と息をつくひまもないほどのつづら織りの坂道を上下しなければならない。須崎市安和には六十軒を越える宿が密集していて、旅客の呼び込みはほんの五十年ほど前まで続いていたという。今はその女中の呼ぶ黄色い声を聞くことはないが、いかに安和から始まる修練の道が苦しかったかがわかる。車社会の発展と国鉄土讃線の開通が宿を衰退させてしまったのである。岩本寺のある四万十町は海抜三百二十メートルの台地の街である。仁井田明神の別当、「福円満寺」が元の札所であった。本地仏の阿弥陀、薬師、観音は熊野三社と同じ仏で、それに十二社権現社の不動、地蔵を加えて五仏が現在の岩本寺における本尊仏である。中世、火災によって福円満寺は廃寺となり、仁井田から南二キロの山すそに、この岩本寺を釈長僧都が再興した。門前には喫茶店もあり、須崎からはひさしぶりの町らしい町に着いた感じがする。せまい敷地堂宇がならぶ。山がじゃまをして、これ以上寺を拡大させることができないのである。しかし、この山にかこまれた盆地ゆえに、朝は霧がたって、小さな町を白くつつみ込む。町の経済は林業が主であるが、鉄道の開通がさらに町を発展させた。寺も敷地の一部をこの中村線に売却した収入で、整備されてきた。まさに身を削っての復興であった。五十年に新築された本堂の天井を見上げて、お遍路さんばかりか、町の人もアッと驚いたほど、天井絵のデザインは斬新である。全国公募によって集められた絵が、五百七十五枚びっしりと列をなしてならべられている。主に高知県の県展に入選した人の絵が多いが、北は秋田県から始まって広島まで県外の作品も百枚は含まれている。マリリン・モンローあり、花の絵ありで、上を見上げて一枚ずつ見てゆくうちに「仏教」というものの永遠の新しさ、寛容さが実感される。

岩本寺

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